車の盗難

 

車の鍵を紛失したお客様から鍵の作成依頼の電話をいただくことがあります。

その時にお客様に必ず聞くのが「イモビライザーは入っていますか?」という内容です。

イモビライザーが入っている鍵の場合、鍵を作成するだけではエンジンがかからないため、鍵の情報を車に登録するなど追加作業が必要になってくるため、対応できる作業員が限られてくるのです。しかも作業料金自体もイモビライザーが入っていない鍵作成に比べて(車種にもよりますが)2~3倍くらい高くなる傾向があります。

だけど、いまだに「イモビライザーって何ですか?」とイモビライザーを知らない人がたくさんいます。

 

イモビライザーは盗難を防止する装置です

イモビライザー(Immobilizer)を一言で言うと「盗難防止装置」です。

鍵の黒い樹脂ヘッドの中に「トランスポンダ」というICチップが収納されていて、そのトランスポンダの暗号化されているIDと車両側のECUのIDコードが一致しないとエンジンが始動しない、というシステムです。このシステムによって車の盗難を防止します。

 

欧米の車種ではほとんどの車に付いているイモビライザーですが、日本では普及がなかなか進みませんでした。

ただし最近は軽自動車やトラックなどにも盗難防止装置が標準で付いている車が増えてきました。

 

ちなみに最近日本車でも増えてきたスマートキーもイモビライザーとはちょっと違いますが、同じようなシステムで盗難防止装置が付いています。

スマートキーは1mくらいまで届く微弱な電波を常時発していて、エンジンをかける際に、ECU(車載コンピューター)がその情報を照合して認証すればエンジンがかかる、という仕組みです(スマートキーを持っているだけで車に近づくとランプが付いたり、センサー部に触れるだけでドアの鍵が開いたり閉まったりするのは、スマートキーから発生する電波によるものです)。

スマートキーの中にはトランスポンダは入っていませんが、車載コンピューターと認証する仕組みなどはイモビライザーとほぼ同じと思えば良いでしょう。

ちなみにECUとは「Electronic Control Unit」の略称で、車の様々な機能を電子制御する車載コンピューターです。

このECUはトランスポンダとID認証するだけでなく電子制御されているものは、すべてこのECUによるものと思って良いでしょう。

具体的にはトランスミッションやエアバッグ、車線維持システム、車間距離制御システム、ハイブリッドシステムなどです。

最新の車には100個近いECUが搭載されているとも言われています。

 

トヨタスマートキー

スマートキーも盗難防止装置搭載車です

 

イモビライザー搭載の判別方法は?

自分が乗っている車のイモビライザーの有無は、持ち主なら知っておくべきでしょう。

 

自分の車がイモビライザー付きか確認する方法はいくつかあります。

運転席のメーター周辺にイモビライザー付きであることを示すランプがあります。メーカーや車種でこのランプの位置や形状などは異なりますが「鍵のシルエット」や「車と鍵の絵を組み合わせたようなマーク」などが多いです。このランプがあれば、ほぼイモビライザー付きと判断できます。

赤く点灯する小さなインジケーターランプの有無でも判別できます。インジケーターランプはイモビライザー警告灯とも言われ、イモビライザー搭載車にはほぼこのランプも付いています。駐車中など鍵が差し込まれておらず、エンジンが停止している時にこのランプが点灯または点滅していればイモビライザー搭載車の可能性が高いです。この状態で無理な操作などをした場合、アラームが鳴り響いて周囲に異常を知らせます。

イモビライザー搭載車 鍵ランプ

その他に、ガラス部分にイモビライザーを示すステッカーが貼ってあるものもあります(SECURITYという文字などがある場合も)。車と鍵が一緒になったイラストだったり、盗難警報装置が付いているのを言葉で書いてあるものだったりします。

 

スバル イモビライザー搭載車 窓ガラスステッカー

 

イモビライザーの確認方法でもっとも確実なのは「ディーラーに確認」することです。

その際に車検証に記載されている「初年度登録」と「型式」を伝えれば間違いないでしょう。

「自分の車は年式が古いからイモビライザーはないよ」とか「軽自動車だから」とか「商用車だから」などの自己判断は危険です。

最近はトラックや軽自動車、バイクでもイモビライザー搭載車が増えています(※バイクのイモビアラームは、警告音が鳴るシステムでエンジンがかからない、というイモビライザーのシステムとは別物なので、混同しないよう注意してください)。

 

ただ気をつけて欲しいのは、同じ車種でも年式や型式でイモビライザーの有無が違ったり、同じ年式でもオプションでイモビライザーが付いていたりするものもあります。

鍵の形状だけで「イモビライザーが付いていない」と唯一判断できそうなのは、プッシュスタートではない鍵穴に鍵を差してエンジンをかけるタイプで、持ち手部分が樹脂キャップではない「金属のみの鍵」の場合でしょうか。

メタルキー

ツイストノブと呼ばれる、イグニッション部分をつまんでセルを回すタイプの鍵も、大半はイモビライザー付きです。

イモビライザー付きのツイストノブの場合、鍵を差さなくてもエンジンがかかりますが、鍵を持っている必要があります。もしくはトランスポンダが埋め込まれたカードキーみたいなものを持っている必要があります。下の写真はHONDAの「Hondaスマートカードキーシステム」で超薄型のカードとなっています。中にはトランスポンダと電池が入っています。スマートキーの前身みたいなものです)。

HONDAカードキー オデッセイ

 

「スマートキー」はトヨタの固有名詞?

ふだん当たり前のように使っている「スマートキー」という言葉は、もともとはトヨタが付けた固有名詞です。トヨタ車の台数が多くて普及したことに加えて、ホンダも「Honda スマートキー」という名称だったことで世間一般に広まったと言われています。

ちなみに主要メーカーの名称は以下となっています。

トヨタ:スマートキー
日産:インテリジェントキー
ホンダ:Honda スマートキー
マツダ:アドバンストキー
三菱:キーレスオペレーションキー
スバル:アクセスキー
スズキ:キーレス(携帯リモコン)
ダイハツ:電子カードキー

各メーカーのディーラーとかでは上記の固有名詞で呼ぶと思いますが、今は上記すべてを「スマートキー」と言っても問題はないでしょう。

 

また上記は運転者が持つ「鍵」に相当する端末の名称で、盗難防止装置も含めたシステムは少し呼び名が違ったりします。

トヨタ:スマートエントリー&スタートシステム
日産:インテリジェントキーシステム
ホンダ:Honda スマートキー、スマートカードキーシステム
マツダ:アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム
三菱:キーレスオペレーションシステム
スバル:キーレスアクセス&プッシュスタート
スズキ:キーレススタートシステム
ダイハツ:キーフリーシステム

実際にこれらのシステム名を一般の人が使うことはないと思われますが、参考までに…。

 

 

リモコンキーはスマートキーとは違うので注意!

リモコン機能が付いている鍵をスマートキーと混同している人がいますが、リモコン機能自体にスマートキーやイモビライザーキーのような盗難防止装置はありません。リモコンキーとスマートキーやイモビライザーキーは別物です。

リモコンキーは「鍵を開けたり閉めたりできる」だけの機能の総称です。

 

リモコンキーは文字通り「リモートコントロールキー」の略であり、遠隔でドアを開け閉めできるものです。

もちろんリモコンキーでイモビライザー機能がある鍵もあるので、見た目での判別は難しいです。下の写真のようなトランスポンダのチップが鍵の樹脂部分などに入っていれば、イモビライザー機能があると判断できますが、樹脂部分を壊すなどして探さないと簡単に見つけらないかも知れませんが…。

 

過去にはメーカー純正品ではない後付けのリモコンも流行したことがあります。これは、ドアの開閉だけでなく、エンジンをかけたりもできたので、冬場の寒い時期に先にエンジンをかけてアイドリングさせることができました。~遠隔でエンジンがかかるものは、ID認証ができないのでほぼイモビライザー搭載なしと判断できそうです…。

トランスポンダ

 

イモビライザー付きの鍵を紛失した時の対処法

イモビライザー機能があろうが、スマートキーだろうが、紛失はしてしまうもの。

鍵をなくしたらどうすれば良いでしょう?

考えられる方法は3つ。

①スペアキーを使う

もっとも安くて確実なのは「スペアキーを使う」です。

紛失した場所にもよるし、スペアキーが自宅などにあることが前提です。

費用は今いる場所から家や会社など、スペアキーがある場所までの交通費だけで済むし、スペアキーなので使用についても確実です。

紛失した鍵を心無い人に拾われて車を盗まれる可能性はもありますが、一般的にこの可能性はかなり低いでしょう。

もちろんこれは、スペアキー自体がなければこれは選択肢から消えます。

今いる場所が遠方で、スペアキーがあっても簡単に取りに戻れない場合は他の選択肢との比較をしてみましょう。

 

②ディーラーに鍵の作成を頼む

スペアキーがない場合、最初に検討すべきがこれです。

スマートキーではない鍵タイプの場合、鍵に付いている銀色のプレートに刻印されているキーナンバーが必要です。

ちなみにこのキーナンバーは、運転席の鍵のシリンダー部分にも刻印されているので、現場で鍵を作成する時にはこの番号を調べることも多いです。ドアを開けた後に、運転席の内張りを外してシリンダーを取り出したりします。

ディーラーで購入した車でなくても、メーカーの販売店ならば対応してくれるケースが多いです。一度電話してみましょう。

鍵作成の費用はイモビライザー付きの鍵の場合15,000~40,000円くらいでしょうか。

メーカーや車種で料金が変わりますが、高級車ほど高い傾向です。

またイモビライザー付きの鍵の場合、登録が必要ですがディーラーに頼んだ場合2,000~4,000円くらいです。

 

ディーラーに頼んだ場合のデメリットとしては、納期が一週間くらいかかるということです。

またスマートキーなど登録の際にディーラーに車を持っていかなければならない場合もあり、その場合はレッカーなどで運ぶ必要があります。

紛失した鍵を拾われる心配がある場合には、ディーラーでECU自体を交換することになります。

ECUの交換は10万くらいの料金がかかります。また、ECUを交換した後に紛失した鍵が見つかっても、IDが変わっているので元の鍵はID認証されずに使えない(=エンジンがかからない)状態なので注意が必要です(※車種によっては上書きができる場合もあるそうです)。

 

③鍵屋を呼んで鍵を作ってもらう

3つめの選択肢は鍵屋に依頼する、です。

鍵屋に依頼するメリットは

  • 車のあるところに来てくれる
  • 当日その場で鍵が作ってもらえる
  • 同時に複数の鍵を頼むことができる
  • (IDをリセットするので)紛失した鍵が見つかってもエンジンがかからない

などでしょうか。

なかでも「すぐにイモビライザー付きの鍵ができて車に乗れる」というのが最大の魅力でしょう。

 

もちろんメリットばかりではありません。デメリットとしては

  • 料金が高い
  • メーカー純正の鍵ではない

当日その場で鍵ができるかわりに、ディーラーに頼んだ場合に比べて料金は高くなります。

車種にもよりますが40,000~100,000円くらいはかかると思っておいた方が良いでしょう(※電話で車種などを伝えれば、もう少し具体的な金額を教えてもらえます)。

作業時間も車種などで変わりますが、イモビライザーなしの鍵作成よりは時間はかかります。60分くらいで終わることが多いですが、それ以上かかる場合もあるでしょう。ちなみにスマートキーの作成は短時間でできますが、スマートキーの内部にあるメカニカルキー(鍵の先端部分)も一緒に作る場合は、その作成にもっとも時間がかかったりもします。

メカニカルキーを一度も使ったことがない人は多数います。無くてもいい場合は時間と料金も節約できます。鍵屋に「メカニカルキーは要りません」と伝えてください。

鍵はメーカー純正の鍵じゃないことも多いです(メーカー純正のものがある場合もあります)。もちろん鍵の性能などは問題ありませんが、メーカーのロゴが入った純正の鍵じゃないとイヤ、と言う人は検討したほうが良いでしょう。

 

また、すべての鍵屋がイモビライザー搭載の鍵を作れるわけではないため、対応の可否および到着時間を電話で確認することも必要です。

普通の車の鍵は作れるけど、イモビライザー付きの鍵は作れない鍵屋もまだまだ多いです。

さらに鍵タイプのイモビライザーキーは作れる鍵屋でも、スマートキーは作れなかったり、年式が新しい車や外車は対応不可ということもあります。このあたりは、直接電話して確認するしかありません。

(※トラブル救急車でおこなった車の鍵作成などの作業事例も参照ください)

イモビライザーキー登録

 

警察に紛失したことを届けておきましょう

鍵を紛失したら、警察や交番に届け出をしておくことも大事です。

どこかで落としたのであれば、拾った人が交番に届けてくれるかも知れないからです。

ただしディーラーでECUを交換した場合や、鍵屋に新しく鍵を作ってもらって元の鍵のIDをリセットした後では、鍵が見つかってもエンジンがかからない事は忘れずに。紛失届をするタイミング、紛失した鍵を諦めるタイミングは自身で判断しましょう。

 

現場でスマートキーを作成

 

イモビライザーは万全ではない!?

世界的に見ると日本のイモビライザーの普及は遅れています。

EU諸国やオーストラリアでは、1990年代からイモビライザーの装着がすべての車に義務化されており、現在では普及率がほぼ100%と言われています。日本も徐々に増えてはきていますが、現在の普及率は80~85%くらいと言われています。

イモビライザーが搭載されていれば盗難の心配もないし、車両保険の保険料も割引になるなど良いことばかり・・・

というのは過去の話です。

 

鍵紛失時の費用が高額になるのはイモビライザー搭載車の大きなデメリットだし、盗難防止のためのイモビライザーなのに、盗難事件は後を絶ちません。

では一体どのような方法で「盗難防止装置」であるイモビライザーを突破して盗難されているのでしょう?

 

頻発する高級車の盗難事件

車の盗難事件は昔からありました。

特に日本車は性能の高さから海外では評判も高く「盗難された日本車は海外で売られる」という事例は今も変わっていないようです。

盗難に遭う車種も必然的に人気のある車種となり、ここ数年は上位車種がほぼ固定しています。レクサス、ランドクルーザー、プリウス、ハイエースの4車種です。

もちろんそれ以外の車も盗難に遭う可能性はあるので、十分に注意してください。

 

一世を風靡したイモビカッター

イモビカッターとは盗難の方法でも使われますが、正式には装置(部品)の名称です。

2010年ごろにこのイモビカッターでの盗難が増えて軽い社会現象にもなりました。

もともとイモビカッターは、車屋とか鍵屋が使うためのものでした。

紛失した鍵のIDをリセット・解除するためのもので、作業自体は数分でできます。これを入手して盗難に悪用したのです。

当時はセルシオやランドクルーザーなどの高級車がメインで狙われていて、外資系の保険会社はランドクルーザーの車両保険は受けない、と言われるほどでした。

その後、イモビカッターキラーという対策備品なども発売されたりしましたが、現在はほとんどの車でイモビカッターの対策はされているようです。

 

スマートキーの特性を狙ったリレーアタック

イモビライザーキーは利便性などからスマートキーへと変わっていきます。

そしてスマートキーが普及した頃に生まれた新しい盗難手口がリレーアタックです。

スマートキーは持っているだけでドアを開けたり閉めたりできるほか、エンジンを始動させることもできる利便性が特徴ですが、そのスマートキーから出ている微弱電波を盗難に悪用するのがリレーアタックです。

 

犯行は複数人でおこないます。

・犯行グループの1人がスマートキーを持った運転手に近づき、スマートキーの微弱電波を拾います。

・拾ったスマートキーの微弱電波を増幅させて、受信機を持つ別の仲間に送信。

・増幅された電波を受けた受信機で車の鍵を開け、そのままプッシュスタートでエンジン始動~盗難成功。

このような流れです。

車の鍵を玄関に置いて保管している場合、玄関のドアの前で微弱電波を拾われる可能性もあります。

そうなると家の中に居る間はいつどこでリレーアタックで車を盗まれるかわかりません。

その場合の対策は比較的簡単で、玄関に保管する場合は電波を遮断する缶などに入れておけば大丈夫です。

車から降りてからの対策としては、スマートキーを電波遮断ケースに入れたり、近くに(1m以内に)微弱電波を狙ってそうな怪しい人がいないか注意することなどでしょうか。

一部メーカーのスマートキーには微弱電波を遮断する機能もあります。この機能はトヨタ車などに設定されている機能で、「切電モード」と呼ばれています。具体的には、スマートキーの施錠ボタン(ロックボタン)を押しながら、解錠ボタン(アンロックボタン)を2回押して設定するだけです。設定が完了するとインジケータが4回光って切電モードの設定ができたことを確認できます。

この切電モード設定中は、スマートキーのいずれかのボタンを押すことで解除できます。解除しないままだと、スマートエントリーやスタートシステムが使用できないので「故障した??」と焦ってしまう可能性もあるので、注意しましょう。

スマートキーの保存

 

コードグラバーで電波をコピー

リレーアタックから進化したものがコードグラバーで、リレーアタックが複数の人間が連携して車を盗むのに対し、コードグラバーは1人で簡単にできるのが厄介です。

スマートキーのスペアを作るための機器だったコードグラバーを悪用した盗難方法はシンプルです。

犯人は車の持ち主が車を降りてドアを閉めた時に発せられる電波を受信して、コードグラバーを使ってスマートキーのIDコードを読み取ります。

スマートキーの施錠時のIDコードを読み取ると、コードグラバーは開錠するためのコードも解読し、さらにはエンジン始動までが行えるようになります。

あとはタイミングを見計い、読み取ったコードグラバーで車の鍵を開け、エンジンをかけて車を持っていくだけです。

 

盗難防止装置であるイモビライザーも、IDコードが一致しているので機能しません。

さらに困ったことに、コードグラバーはスマートキーに近づく必要がなく、50~100mくらい離れていてもコピーが可能です(機器によってはそれ以上の距離でも電波をコピーできると言われています)。

現時点ではコードグラバーを使った盗難の効果的な対策はありません…。

 

現在の主流のCANインベーダー

最近テレビニュースで高級車の盗難が報じられている中で、新たな盗難手口が話題になっています。

それがCAN(キャン)インベーダーです。ちなみにCAN(キャン)という名前はECU間を接続するネットワークプロトコルController Area Networkの頭文字です。このCAN(キャン)の脆弱性に付け込んだ攻撃方法がCANインベーダーです。

CANインベーダーはリレーアタックやコードグラバーなどのように、スマートキーの電波を利用しません。

現在の車はほとんどがコンピューター制御されていて、車の様々な情報が集約されるターミナルのようなものがあります。

その情報が集約されるターミナルにつながるCAN信号の配線部分に不正介入するのがCANインベーダーで、成功すればなんでもできるようになります。

車の鍵を開けたり純正アラームを解除したり、エンジンをかけることもできるので、あとは簡単に車を盗むことができるでしょう。

盗難被害が多いトヨタがが独自の「トヨタセキュリティシステム」というシステムを開発しました。これは後付けもできるうえ、コストも2万円程度とリーズナブルでかなり効果が高い対策と言われています。

ただしこの画期的とも思えるシステムも、2025年になって新しいCANインベーダーによって盗難被害が出ています。

手口はこれまでのCANインベーダーに似ていますが、窃盗団が盗難時に使うデバイスの構造や車に接続する場所も違うなど、これまでのCANインベーダーと異なる部分も多いため、新型CANインベーダーと呼ばれることもあるようです。

 

愛車を盗難から守る方法は?

イモビライザーには頼れない!?

このように盗難防止装置であるイモビライザーも、最新の盗難手口では意味がありません。

メーカーもいろいろと対策を講じたりセキュリティ強化するなどしていますが、盗難する犯罪グループはその都度新しいセキュリティを突破するための研究開発をしているため、完全ないたちごっこと言えます。

ではどうやって自分の車を盗難から守ればいいのでしょう?

 

社外品の物理的な対策を!

現時点でもっとも盗難防止に効果があるのは「物理的対策」と言えます。

ハンドルを動かないようする「ハンドルロック」やタイヤを動かないようにする「ディスクロック」や「タイヤガード」などです。

スマートキーはとても便利な機能ですが、情報を操作されたり書き換えられたら簡単に盗まれてしまいます。

新しいランクルに搭載された指紋認証なども含め、メーカー純正のセキュリティでは(現時点では)限界があります。

なので物理的に「車を動かせない」対策をしたり、盗み出すには「時間がかかって大変」な防衛策をするしかありません。

専門店などで日々最新のセキュリティグッズが販売されていますが、性能および機能は様々です。気になる場合は自分で調べて試してみるのも良いでしょう。

タイヤガード

 

 

あとは盗難された後の対策です。

警察に届け出るのはもちろん、SNSなどで情報を拡散して広く情報を集めるようにしましょう。

車にGPSを付けて盗難に遭ったらすぐに探索する、という方法も効果はありそうです。

盗んだ車は一定期間、コインパーキングのような民間の駐車場に停めておく、という話があります。

その段階で車を発見できれば、パーツ取りなどで分解されたり、海外に運ばれたりすることを防げるはずです。

 

駐ちなみに盗難に遭った際に全損として保険がおりるような車両保険に入っておく人もいますが、盗難被害に遭いやすい車種だと保険料が高かったり、受付してくれないケースもあるそうです。

このあたりは自分で調べてみてください。

TOYOTA スマートキー内部 メカニカルキーと電池

 

 

警察庁が発表した自動車の盗難被害状況

1位のランクルはダントツの1064台!

2025年7月31日、警察庁は2025年上半期(2025年1月~6月)の自動車の盗難認知件数を発表しました。

盗難台数が多い10車種と台数(前年台数)は以下となっています。

 

1位:ランドクルーザー/トヨタ:1064台(643台)
2位:プリウス/トヨタ:539台(428台)
3位:アルファード/トヨタ:488台(700台)
4位:レクサスLX/トヨタ:230台(261台)
5位:ハイエース/トヨタ:170台(187台)
6位:レクサスRX/トヨタ:165台(88台)
7位:ハイゼット/トヨタ:103台(107台)
8位:クラウン/トヨタ:101台(81台)
9位:キャリイ/スズキ:96台(115台)
10位:レクサスLS/トヨタ:70台(71台)

 

販売台数や人気によって順位や台数は変わると思われますが、10車種中9車種がトヨタになっています。

ランドクルーザーやアルファード、レクサスなどの高級車だけでなく、販売台数の多いプリウスや作業車として人気のハイエースやハイゼット、キャリィが入っているのも興味深いところです。

これらの車を所有している人は、高級車じゃなくても盗難被害に遭いやすいことを認識しておきたいところです。

 

年度別の盗難台数の推移

警察庁が発表している2024年の盗難認知件数は6,080台でした。

2015年が13,821台、2010年が23,970台だったころから見れば、確実に減少傾向にあります。

これはイモビライザーやスマートキーの普及による効果もあるでしょう。

ただしこの2020年の5,210台からは減少傾向は止まってしまい、微増と微減の数値を推移しています。

今後も急激に減少することはないのかも知れません…。

 

車の鍵の紛失にも気を付けましょう

 

都道府県別の盗難台数は?

警察庁が発表しているデータには都道府県別の自動車盗難の認知件数もあります。

2024年の上位都道府県の順位と台数は以下となっていました。

1位:愛知県:866台
2位:埼玉県:781台
3位:千葉県:708台
4位:茨城県:567台
5位:神奈川県:536台
6位:大阪府:417台
7位:栃木県:318台
8位:群馬県:274台
9位:東京都:223台
10位:兵庫県:150台

 

年ごとに多少の順位変動はあるものの、上位の都道府県はほぼ同じ顔ぶれです。

ただこれは保有台数にもよるのでしかたのないことでしょう。

また首都圏が多いのは高級車に乗っている人の割合が多いのかも知れません(数値はないので推測ですが)。

イモビライザーやスマートキー搭載車でも盗難被害が起こることは忘れないようにしましょう。

楽しく車を運転する女性

 

 

TOYOTAのセキュリティシステム プレミアム

2025年10月14日に最新の防犯システムを発表!!

TOYOTAから車両盗難防止対策の最新システムが発表されました!

名称は「セキュリティシステム プレミアム」で、以前にあった「セキュリティシステム」の進化版といったところでしょうか。

「セキュリティシステム」は盗難被害が増えてきたCANインベーダー対策ともいうべき内容で、車外からの通信ネットワークに不正侵入して流し込まれる信号を遮断する、という対策でした。

今回の「セキュリティシステム プレミアム」は、ホームページを見る限り以下の3つの機能があるようです。

1.クルマに入らせない(ダブルロック)

2.クルマを動かせない(セカンドイモビライザー)

3.クルマから追い払う(セルフパワーサイレン)

 

2つめの鍵「セキュリティキー」で愛車を守る

この新しいセキュリティシステム プレミアムは、スマートキーと一緒に携帯する「セキュリティキー」がポイントのようです。

スマートキーにもセキュリティ機能はありますが、このセキュリティキーにも同じようなセキュリティ機能があり、車のドアを開けたり、エンジンを始動させるには、スマートキーだけでなくこのセキュリティキーの追加認証も必要で、これまでのセキュリティを大幅に高めているようです。

認証が2つになる、というだけでセキュリティが高くなることは想像が付きやすいですが、セキュリティキーも一緒に携帯することがストレスになったり、紛失するリスクにもなりそうな気もします…。

もちろんそういう方はセキュリティシステム プレミアムを入れなければいいだけでしょう。

また、セキュリティシステム プレミアムのもう一つの機能は、バッテリー付きのサイレンを追加することでドアのこじ開けなど盗難動作を検知した場合に、大音量で威嚇するというものです(これはセキュリティキーは関係ないようです)。

クルマを盗もうとする不審者

 

 

費用や取付け時間、対象車種は?

このセキュリティシステム プレミアムは、TOYOTAのホームページを確認する限り

・メーカー希望小売価格:148,500円~(税抜き135,000円~)

・標準取付時間:3.4~4.2時間

となっているようです。

またセキュリティシステム プレミアムを取付けできる車種も決まっていて、盗難被害が多い車種となっています。

車種 <対象年式>

・ランドクルーザー300 <2021年8月~>

・ランドクルーザー250 <2024年48月~>

・アルファード、ヴェルファイア <2023年6月~>

・クラウン(クロスオーバー、セダン、スポーツ、エステート) <2022年7月~>

・プリウス <2022年12月~>

 

実際このセキュリティシステム プレミアムがどこまで普及するかわかりませんが、一定の効果はありそうです。

対応車種や料金、セキュリティの詳細はTOYOTAのホームページでご確認ください。