自分の家の玄関の鍵と鍵穴を確認してみてください。
写真と同じMIWAのディスクシリンダーだったら、ピッキングで簡単に開いてしまいます!
早急に鍵交換を検討することをおすすめします!
この鍵が欠陥品だったわけではありません。1970年代に普及した当時は多くの玄関にこの鍵が付いていました。
しかし中国から来た犯罪組織にピッキングで侵入される事件が頻発し、危険性が露呈したのです。
その被害がもっとも多くなったのが2000年頃です。
読売新聞に掲載された記事の内容を見ると、その当時の様子や被害の多さが容易に想像できます。
2000年春。中国人犯罪組織のリーダー格8人が横浜に集まり、グループの犯罪の中でどれが一番効率的かを協議したという。
(中略) 最後に、組織の頂点に立つ男が宣言した。
「これからは警戒が薄いマンションのピッキングでいこう」
(2003年2月13日、読売新聞の記事より抜粋)
メーカーであるMIWAは、簡単にピッキングで開いてしまうディスクシリンダーの製造を現在中止しています。ですが今現在もこの鍵が玄関に付いている家は少なくないこともあり、このディスクシリンダー錠の合鍵の製造は2030年まで継続すると発表しています。
上記のディスクシリンダーの特徴は鍵穴が「く」の字型で、鍵を差し込む向き時の鍵穴が縦向きになっていることです。
日本人は防犯意識が低い!?
日本人の防犯意識は、諸外国に比べてかなり低いと言われます。
でもそれは仕方がないことです。諸外国に比べて治安が良くて犯罪が少ない国なのだから。
日本は凶悪犯罪も少ないし一般の人が銃を携帯することもできません。町の至るところに交番もあります。
日本に生まれて良かったですね~。
そんな日本で防犯対策と言えば「鍵の閉め忘れをしない」とか「簡単に開かない鍵に交換する」など鍵に関することがほとんどです。
鍵こそが最大の防犯アイテムなのでです。
戸建てに住んでいる人は意識が高め
一戸建ての家に住んでいる人だと、マンションやアパートなど集合住宅に住んでいる人と違い、防犯意識は少し高くなる傾向があります。
「一国一城の主」という感覚が生まれるからでしょう。
具体的に何をするかと言うと、窓ガラスを割れにくいものに変えたり、人が歩くと音がする砂利を敷いたり、人の動きに感知するセンサーライトを付けたり、玄関や勝手口などに録画機能付きの防犯カメラを付けたりします。
もちろんこれらは立派な防犯対策であり、効果も見込めるでしょう。
「CP認定建物部品」を取り付けよう
前述したように、日本での防犯対策は玄関ドアおよび玄関の鍵部分の対策がメインです。
空き巣やストーカー等による不正侵入被害を防ぎたい人は
- ピッキングに強い鍵にする
- 2ロックにする
- ドアにガードプレートを付ける
- サムターン対策をする
- 防犯カメラを設置する
これらを実行するだけで立派な防犯対策です。
では「ピッキングに強い鍵」とは具体的にどんな鍵でしょう?
それは「CP認定された錠前やシリンダー」です。
CPとは錠前や鍵に限らず、防犯性能の高さが認められた建物部品の総称で、CP認定錠やCP認定シリンダーは、ピッキング耐性が5分以上あることが認められた部品です。
泥棒が侵入を諦める時間は5分
空き巣や犯罪者が家屋に浸入する時は、目立ってはいけないため短時間で侵入します。
関係機関の調査によると、侵入に5分以上かかる場合は7割近くが諦めるというデータがあります。
このデータから、ピッキング耐性5分以上の鍵=ピッキングに強い鍵(CO認定シリンダー)と言えるのです。
ちなみにこの「5分」という時間は耐ピッキングだけではありません。
侵入経路であるドアやガラス、窓、シャッターなどの建築部品すべてに該当します。
例えばガラスであれば、ガラスを割るのに5分以上かかるものであれば防犯性の高いガラスと言えるのです。
ガラスやシャッター、ドアなどにCPマークのシールが貼ってあれば、防犯性能の高い部品であると思ってよいでしょう。
防犯に強いCP認定品はどのくらいあるのか
2002年に警察庁、国土交通省、経済産業省が、住宅生産者団体および建物部品関連団体等からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」を設置しました。そこで実施された防犯性能試験の結果により「防犯性能の高い建物部品」が決められ、その部品の共通標章がCPです。2021年6月末現在、17種類3435品目があります。その17種類は以下となっています。
<ドア関係>
- ドアA(低層住宅用のドア)
- ドアB(ビル・マンション用のドア)
- ガラスドア
- 上げ下げ内蔵ドア
- 引戸
- ガラス引戸
- 錠、シリンダーおよびサムターン
<窓関係>
- サッシ
- ガラス
- ウィンドウフィルム
- 雨戸
- 面格子
- 窓シャッター
<シャッター関係>
- 重量シャッター
- 軽量シャッター
- オーバーヘッドドア
- シャッター用すっちボックス
詳しくは5団体防犯建物部品普及促進協議会の防犯性能の高い建物部品目録ページで確認できます。
3435品目のメーカー名や部品名なども確認できるので、興味のある人は確認してみてください。
ディンプルキーならピッキングで開かない!?
CP部品を確認しなくても、ディンプルキーならピッキングに強い鍵と言えます。
ディンプルキーとは持ち手の鍵がギザギザ形状がなく表面にポツポツと穴やくぼみがある鍵の総称です。
ディンプルキーでも一部のものはピッキングで開くものもありますが、5分以内で開くことはまずありません。
しかもディンプルキーなら鍵穴に入れる向きを気にせず使えるリバーシブルタイプのものが多く、使い勝手も良いのでおすすめです。
現在ほとんどの鍵メーカーがディンプルキーを扱っているので、デザインや料金などからお好みの鍵を選べます。
また、ディンプルキー以外のギザギザ形状の鍵でも防犯性能の高い鍵はあります。
代表的なのはMIWAのU9で、この鍵はCP認定シリンダーにもなっています。料金もディンプルキーよりは安いので人気です。
一見するとディスクシリンダーと似ていますが、構造的にロータリディスクシリンダーとなっているので防犯性能は全然異なります。
鍵穴形状も「く」の字ではなく「W」の形をしており、鍵穴の向きも横向きなのでこのあたりで判別可能です。
鍵交換をする際の料金目安やDIYで交換する手順等は鍵交換のページで確認してください。
鍵の交換以外で防犯性能を高めるには
玄関の鍵をピッキングに強いCPシリンダーやディンプルキーにしたら一安心です。
鍵穴から不正開錠されて侵入される心配はかなり減ったと言えるでしょう。
しかし、あくまで一安心できるだけで、安全と言えるレベルではありません。なぜなら、鍵穴以外から侵入されることもあるからです。
不正開錠を含めた鍵を開ける方法は、鍵開けページで確認できます。
鍵を追加して上下2ロックにする
前述した防犯対策の「2ロックにする」、これも検討してください。
2ロックとは、文字通り1つのドアに鍵を2つ付けることです。
玄関に鍵が2つ付いていれば、鍵開けにかかる時間が2倍になるので不正侵入者も見ただけで諦めるからです。
侵入に「5分以上」かかる場合は7割が諦めますが、「10分以上」かかる場合には90%以上が諦めます。
防犯性の高い鍵が2つ付いていれば、それだけで侵入を諦めさせることもできるでしょう。
最近は戸建てに限らずマンションやアパートも最初から2ロックになっているものが増えています。
もし鍵が1個しか付いていない場合は新たに補助錠を付ければ同じ効果が得られます。
でも2ロックにもデメリットはあります。
- 2箇所の鍵の開け閉めが面倒
- 片方の鍵しか施錠していないと2ロックの意味がない
- 鍵紛失などで鍵交換をする場合、2箇所分の交換費用がかかる
などです。
鍵が1個の賃貸物件で「自費で補助錠を付けたい」と管理会社に許可を求めても、ドアへの加工NGで断られることもあります。
穴を開けたり加工をせずに取付けできる補助錠もありますが、こういった補助錠は管理会社や仲介会社などが、賃貸物件の空室の内覧用に付けることが多い「簡易的な補助錠」です。自分でも簡単に取付けができ、料金も5,000~10,000円で買えるものが多いです。
1ドア2ロックで確実に防犯性能はアップしますが、デメリットがあることも知っておきましょう。
バールなど力技による不正開錠を対策する
玄関のドア部分にガードプレート(ドアガード、ドアガードプレートなどとも言います)を付けることも防犯効果が見込めます。
これは、バールなどをドアの隙間に入れてデッドボルト(=ドアが開くのを防いでいるカンヌキ状の金属)を無効化してしまう乱暴な不正開錠を防ぎます(下の写真参照)。
こじ開け(こじ破り)と言われるこの開け方をされたら、どんなに防犯性能が高い鍵にしていても意味がありません。
2ロックにしていても2箇所ともこじ開けされることはありますが、2箇所のこじ開けには時間がかるため、2ロックならこじ開け対策の効果は見込めるでしょう。
ガードプレートを自分で取り付ける場合、種類にもよりますが3,000~10,000円くらいの金額でネットで購入できます。
ただし購入時はデッドボルトのサイズやドア厚、錠前ケースの大きさなど事前に必要な寸法を調べておかないと、取付けできないものを買ってしまう可能性があるので注意が必要です。
取り付けも含め、自信がない人は鍵屋や建具屋などプロに頼むのが確実です。
サムターン回しの対策部品を付ける
鍵開け方法でも紹介していますが、玄関の内側の鍵であるサムターンを回して鍵を開ける不正侵入を防ぐ対策もあったほうが良いでしょう。
鍵メーカーが防犯サムターンとして、様々なものを出していますがもっとも簡単に対策できるのは、やはり「サムターンカバー」でしょう。透明な円柱状の形をしたプラスチック製のカバーをサムターン部分に付けるだけです。
サムターンを不正に回すには、ドアスコープ(のぞき穴)やドアに付いている郵便受け、ドアの隙間などから工具を入れて回すため、サムターンカバーがそれらをブロックします。
安いものなら1,000~2,000円で購入でき、自分で簡単に取付けできます。
防犯カメラで犯罪抑制&被害時の対策
現在は「一億総監視社会」と言われます。
お金がたくさんあるところ、犯罪が起こりやすい場所に設置されていた防犯カメラは、今やどこにでもあります。
建物の入口や駐車場だけでなく、街中や道路を映すカメラもあります。
さらに最近では自家用車にもカメラが付いていたり、デリバリーサービスをしている配達員がトラブル回避のためボディカメラを付けていたりします。
いたるところにカメラがあることで、犯罪や事件の解決スピードが格段にアップしました。
車の事故や個人間のトラブル発生時の証拠になり、泣き寝入りをしなくて済むようになりました。
このように、カメラの普及は基本的には良いことばかりです。デメリットは見当たりません。
ただ、絶えずどこかで「監視されている」と思った方が良いでしょう。
玄関部分にもカメラを付ければ、犯罪者や不正侵入をしようとしている人が「カメラがあるからヤメておこう」となります。
その効果だけを期待するなら、カメラの存在を確認できる範囲で手の届かない少し離れたところに、本物そっくりの安いダミーカメラを両面テープで付けるだけでも良いでしょう。
さらに、万が一侵入被害にあった際に効果を発揮します。
犯人の特定に役立つことがあるからです。
最近は車の事故にドライブレコーダーが役立つケースが増えていますが、同様に住宅の不正侵入には防犯カメラでの犯人特定ケースがかなり多いです。
鍵の紛失に要注意!?
防犯性能の高い鍵を付けたり防犯対策をしっかりしたらもう安心です。
不正開錠や不正侵入に遭う可能性は、かなり低いと言えます。
が、しかし!
必ずしも良いことばかりでもありません。
交換したばかりの防犯性能の高いCP認定シリンダーの鍵をなくしてしまったらどうしましょう?
防犯対策された玄関を自分で開けることはまず無理です。
仕方なく鍵屋に鍵開けをお願いすると・・・鍵屋も簡単に開けられないので「特殊開錠」になり、鍵開け料金も高額になります。
さらに紛失した鍵を誰かに拾われたら・・・という心配から鍵屋に新しい鍵への交換も頼むと、防犯性能の高いCP認定シリンダー2箇所の鍵交換は料金も高めになります。
少しでも料金を安く抑えようと1箇所だけの鍵交換にすることもできますが、そうなると上下で鍵が違うので鍵を2個持つことになり、かなり面倒です。
鍵の紛失にはくれぐれも注意しましょう!